PORT2401

2401起業media

事業アイディアが定まらない方へ。自分の中にある「ビジネスのタネ」を掘りおこす方法

起業イベントレポート

「起業したい。でも事業が定まらない。」
そんな悩みを抱えている方を対象に、西大井創業支援センター(以下:当施設)にて2022年5月25日(水)、【自分の中にある「ビジネスのタネ」掘りおこしワークショップ】を開催しました。

担当したのは、当施設のインキュベーションマネージャー兼キャリアコンサルタントの浅葉IM。イベントの様子と共に、事業を考える上での自己分析の重要性・自身の強みの見つけ方、ビジネスのタネの作り方をお伝えします。

どうして事業づくりに「自己分析・自己資源の整理」が必要なの?

起業とは「事業を自ら始めること」ですが、事業とはなんでしょうか。
事業とは、以下の3つが成り立つことです。

  1. 目的に向け、社会的意義のある仕事をすること
  2. 販売やサービス提供により対価を得ること
  3. これらの活動を継続すること

そして、企業は社内外にある様々な「経営資源」を活用することで、事業を成り立たせると同時に経営を進めています。

アイディアマンが商品の開発をしたり、営業が得意な人がそれを広めたり、バックオフィスを担う人がいたり。
しかし、起業家個人でこれら全てを網羅しようとすると足りないことばかりです。起業家は、経営資源を多く持っているわけではないのです。

そこで、起業家の武器となるのが「自分の魅力や強み」と「価値観」。起業家の持つ経営資源とは、自己資源なのです。では、自分にどんな資源(強みや魅力、価値観)があるのでしょうか。
知っているようで、全然分からないのが自分自身。今回は自己分析ワークを通して、自身の強みや魅力を掘りおこしていきます。

当たり前だと思っていること、コンプレックスでも良い。「強み」の見つけ方

「自身の強みや魅力」と言うと、「人よりも圧倒的に優れている何か」というイメージを抱き「自分にはそんな特技はない」と考えてしまう方も多いのではないでしょうか。

「人より少し得意なこと」単体だと自信を持てないかもしれません。
しかし、「人より少し得意なこと」を2つ掛け合わせるだけで「独自性」が生まれ、あなただからこその強みや魅力に繋がります。

得意なことだけでなく、自身の価値観や経験を組み合わせるだけでも、独自性のあるサービスに繋げることができます。

「強み」という言葉のイメージにとらわれず、まずはこれまでの人生・キャリアを振り返ってみましょう。振り返る際に、紙に書き出すとより自身の思考が整理されます。
また、無心で書き出した紙を見返した時に、何度も出てくるキーワードやエピソードがあればそれはあなたにとって重要なことかもしれません。客観的に見返すためにも、紙に書き出してみることをおすすめします。

今回のイベントでは、

  • 生活キャリアの棚卸(仕事ではなく、打ち込んだことや熱中したこと)
  • 例:趣味や子育て、PTAなど
  • 職業キャリアの棚卸
  • ライフチャート(生まれてから今の年齢を横軸とし、大きな感情の起伏があった年齢や出来事をグラフとして書き出す)
  • たくさん書かれた価値観の表から自身が大切だと感じるキーワードに直感的に丸をつける
  • 「起業の動機」のチェックリストにいくつ当てはまるか考える

など、自己分析の手助けとなる様々なワークシートを用いて、参加者の皆さんに強みや魅力、価値観を書き出してもらいました。

ワークショップの様子

ここで重要なのが、達成したことや他人に評価されたことを書き出すのではないということ。
例えば、「学生の時から大人になるまで楽器を長く続けていた」という経験があったとします。大切なのは「◯年間楽器を続けていた」という事実ではなく、「なぜその楽器を長く続けることができたのか」を深掘りすること。楽器が好きだったから?ステージに立つのが好きだったから?メンバーが好きだったから?メンバーが好きだった場合は、気の合う仲間とチームで何かをすることが好きという価値観に繋がります。
職業キャリアの棚卸しでも「プロジェクトでこんなことを達成した」という事実よりも、「上司から学んだこんな価値観に共感した」など自分の感情が動いた部分を深掘りしましょう。

また、「朝型で朝活を続けている」という自分にとって当たり前のことであっても、夜型の人からしたらすごいことであったりします。「これって普通では?」と思うことも、とにかくなんでも書き出してみてください。

コンプレックス、欠点、自分に足りないと思うことが強みにつながることも多いです。

例えば、転職経験が多い浅葉IMは、新卒からずっと同じ会社で働き続ける友人を尊敬したり憧れたりすることが多いそうです。しかし、様々な業界にいたことで複数の業界の文化が分かるようになったり、面接で前職を辞めた理由を聞かれた際の対策に詳しくなったりしたことが、キャリアコンサルタントという仕事に繋がっています。
コンプレックスだと感じていることも、とにかく一度書き出してみましょう。

「自分から見た自分」「他人から見た自分」を切り分けて分析し、自己理解を深める「ジョハリの窓」という言葉があります。
上の図の左上は、一番オフィシャルな自分。仕事仲間や知人など、多くの人の前での自分です。そして、左下は「自分が認識している、他人には隠している自分」。まずはここから紙に書き出し、潜在的な自分の強みや魅力、「未知の窓」(図・右下)を開いていきましょう。

自分だけでは気づきに限界があるため、家族や親しい友人、恋人などの意見も聞き「盲点の窓」(図・右上)を開くことも効果的です。

これらのワークは、自分自身の魅力に気づくきっかけに過ぎません。
自分に合った方法で、潜在的に眠っている自分の強み・魅力・価値観を掘りおこしてみてください。

強みや魅力をビジネスのタネに繋げるには?

さて、自己分析を通して書き出した強み・魅力・価値観をどのようにビジネスに繋げれば良いのでしょうか。
組織では自分らしく働くために、Will・Can・Mustの視点が重要だと言われています。

この3つが重なった部分が、最も幸福度が高く働くことができるのです。
しかし起業家の場合、Mustの部分がNeed(社会課題•顧客ニーズ)に変わります。

今回のワークで見つけた強み・魅力・価値観はWillとCanにあたります。
自分らしいビジネスモデルをつくるために、まずは自分らしさの掛け合わせ(Will・Canの組み合わせ)をたくさん作りましょう。

そして、そこに顧客視点(Need/社会課題やニーズ)を掛け合わせることでビジネスのタネが生まれます。

たくさんのビジネスのタネを作り、可能性を広げ、「これだったら継続的にできそうだ」「これなら仕需要がありそうだ」と思うタネを選び、成長させてみましょう。
あなただからこそできる、あなたらしい事業に育っていくかもしれません。

誰しも、たくさんの強み・魅力・ビジネスのタネを持っている

今回のワークショップで、浅葉IMは繰り返し「強みは特別なことではありません。すごいことでなくても良いんです。」と話していました。「今日、このワークショップに参加したこと自体が“行動力”というひとつの強みです。」とも。
今、この記事を読んでいるあなたにも“情報収集力”というひとつの強みがあります。

まずは、自身の人生や仕事の経歴を振り返り、その時なぜそう思ったのか?良いと思うことも、悪いと思うことも、全て掘りおこしてみましょう。
感情の起伏があったところに、あなたの価値観や強みがあるかもしれません。そして、「自分では大したことではない」と思っている経験を組み合わせることが、独自性のあるビジネスに繋がります。

自己分析を繰り返し、たくさんのビジネスのタネを生み出し、育てたいタネを見つけたら、ぜひ西大井創業支援センターへ。タネを育てる環境・支援を揃えてお待ちしています!