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起業時に信頼・応援されるには? 共感を生む事業計画書の作り方

起業イベントレポート

起業にあたり、「支援を受けたい」「資金調達をしたい」と考えた時に必要となる事業計画書。西大井創業支援センター(以下、当施設)でも、月額会員募集において事業計画書の提出をお願いしています。

まだまだ事業経験の浅い起業家が、周囲から信頼・応援される事業計画を立てるために大事なことは何なのでしょうか。 当施設でインキュベーション・マネージャー(以下、IM)を務める朝比奈信弘さんは、事業計画書に必要なのは「共感」だと主張します。

そこで今回は、2022年2月14日に当施設で開催したセミナー・ワークショップ『自分の「軸」から考える、共感される事業計画』の模様をお届けします。

創業における「軸」の重要性と、共感を生む考え方

今回のイベントの登壇者で当施設IMの朝比奈さんは、共感される事業計画を作成する上でもっとも重要なのは「軸」だと言います。以下、朝比奈さんがセミナーで教えてくれた内容をダイジェストでお届けします。

※朝比奈さんのプロフィールはこちら

他人から共感されるための考え方として、ゴールデンサークル理論(WHY→HOW→WHATという順番で想いを伝えると、共感を生むことができるという考え方)があります。ここでいう「WHY」の部分が共感につながる「軸」に当たります。WHYを軸としてサービス概要、具体的な商品を説明していけば、第三者の共感が生まれやすくなるでしょう。

自身の軸を言語化するため、繰り返し行いたいワーク

では、軸はどのように決めれば良いのでしょうか?

これは、起業家の皆さんの心の中にあるもので、他人に決められるものではありません。しかし、自身の心の中にある軸をうまく整理できない、言語化できないという方も多いのではないでしょうか。

そこでイベントでは、参加者の皆さんに以下のワークを行っていただきました。

初めからうまく書くことができなくても問題ありません。繰り返しこれを行うことで、だんだん最適な言葉にまとまってきます。

自身の「軸」をわかりやすく説明できない、あるいはそもそも軸が明確に定まっていない方は、このワークシートの記入を繰り返し行ってみてください。ある程度まとまってきたら、「身近な人に聞いてもらい、伝わりにくかった部分を改善する」と、より良い言葉にまとまっていくでしょう。

軸をベースにポイントを押さえて作成する

ワークを通じて自身の軸を言語化できたら、事業計画書に軸を盛り込みましょう。

事業計画書は大きく分けて4種類あります。まずは、今の自分に必要な種類を選んでください。

次に、軸をベースに、上記のポイントに合わせて書き方を変えてみましょう。

たとえば、寄付系の代表的な方法にクラウドファンディングがあります。クラウドファンディングではいかに自身の想いを伝え、第三者に共感・応援したいと思ってもらえるかが重要です。

「自分はなぜその目的を持ったのか」

自身の体験に基づいたストーリーを用いて軸を説明し、具体的にどのようなプロジェクトを行いたいのかを説明することで、第三者の共感が生まれやすくなります。

一方、融資については返済義務があるため、収支計画などの具体的な数字において「返済能力があるかどうか」を厚く記入することが求められます。

しかし、いくら根拠のある数字を並べることができたとしても、それを実現できるかどうかは、その人の想い・やる気・人柄次第。そのため、創業動機を記入する欄も必須であり、面談で会社への想いを聞かれることも多くあります。

自身の軸を明確にしておくことで、創業動機の記入・受け答えをよどみなく実施できるようにしましょう。

収支計画は、どう記入すれば良い?

収支計画の記入はほとんどお作法です。当施設の入居申請書類をベースに、その書き方を見てみましょう。

用語の意味を理解すれば、あとは各項目の数字を入れていくだけです。

売り上げだけでなく、通信費や広告宣伝費、人件費など、事業にかかるお金をしっかりと分類・計算し、できる限り正確な数字を入れましょう。

事業の継続性や成長性が明らかになるため、会社として中長期的な目標を立てる上でも非常に役立ちます。

初めは時間がかかるかもしれませんが、この書類の作成は「慣れ」が大切です。何度か作成する内により速く・正確に作成できるようになるでしょう。

軸を磨き上げていくことが、起業の醍醐味である


「事業を進める上でピボットを行うことは悪くない、むしろ多くの企業がピボットを経て成功している」

「自分の大切なこと(軸)を磨き上げていく意識を持つことを大切にしてほしいし、それが起業の醍醐味である」

朝比奈さんは今回のセミナーで、参加者たちにこんなメッセージを伝えていました。創業前でも、創業間もない場合でも、これから先はさまざまな意思決定を余儀なくされるはず。どんな時でも判断基準となる折れない軸を、まずはしっかりと言語化し、事業計画に盛り込んでみてください。

あなたの軸は、今は小さな光しか放っていないかもしれません。しかし創業し、会社を経営していく中で、より強固で多くの人を魅了するものに進化し、それが真価となっていくでしょう。