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パーソナルな部分を武器に、コミュニケーションを取りやすくする 名刺作成ワークショップ

品川区立西大井創業支援センター(PORT2401)は8月31日、起業を目指す人を対象に「自分の強みを伝えて、覚えてもらうための名刺作成ワークショップ」を開催しました。講師は同施設でインキュベーションマネージャーを務める中小企業診断士の朝比奈信弘さん。朝比奈さんは「名刺は自分の肩書きを伝えるだけではなく、マーケティングのツールとしても活用できる」と語ります。以下、セミナーの内容をまとめてお届けします。

〈登壇者プロフィール〉
朝比奈信弘 氏 / 中小企業診断士 インキュベーションマネージャー

1982年生まれ、神奈川県出身。
凸版印刷株式会社にて企業の広告、販促物のデザイン業務に従事後、社会課題解決型ビジネスモデルに関心を持ち、中小企業診断士を取得。公的支援機関にて新規事業立ち上げ、各種研修・セミナーの企画立案、官民連携推進に従事。東京都中小企業診断士協会ソーシャルビジネス研究会副代表。非営利組織におけるガバナンスや資金調達、IT活用、組織基盤強化等実績多数。

なぜ名刺を作るのか

名刺に対してどんなイメージを持っていますか?

会社名と役職名が書かれている名刺は、組織としての「その人」を指すものです。しかし、起業家にとっての名刺は、マーケティングとして活用できるツール。パーソナルな武器を示すことによって、相手に覚えてもらうきっかけにつなげられます。

一般的に初対面の人と会う場では、共通項目が多い方が話しやすいとされています。これは、人類が生き残るための知恵として「相手が自分の敵かどうか」を瞬時に見極める必要があったから。つまり、初対面の人と共通項目が多いと、自分と似た境遇の相手を「敵ではない」と認知して、打ち解けるきっかけにつながるのです。

であれば、憧れの若手起業家と名刺交換をする機会があったら、どんな名刺がいいのでしょうか。きっと共通項目が多いほど、相手は「自分の敵ではない」と認識してくれるはずです。そのためには、自己開示のスピードを速め、相手との共通項目を増やしていく必要があります。そのツールとして、名刺を利用していくのです。

<アクティビティ>

初対面の人と共通項目を見つけるための自己紹介をしてみましょう。相手との共通点があれば打ち解けやすく、そうではない場合はよそよそしく感じられると思います。

相手と盛り上がる話がわからない時には「ジョハリの窓」という考え方が役立ちます。ジョハリの窓とは、自己分析を行い、他人との認識のズレを理解する心理学モデルのことです。この図のうち、自分の内面や能力を他の人が見てもわかるように表に出せている状態を指す「開放の窓」が広い方が、自分の領域が展開されているためネットワークが広がりやすくなります。

これ以外にも、自己理解を深めるためには、自分の性格を理解する「16Personalities」もおすすめです。自分の話しやすい領域は何かを知り、相手と会話しやすいポイントを探してみるといいでしょう。

キャッチコピーでファーストインプレッションを得よう

<アクティビティ>

個人ワークとして、オリジナル名刺を作ってみましょう。ここでは、自分がどういう人間か、相手に伝わるストーリーを組み込んでいきます。

ここで大切なのは「キャッチコピー」です。例えば、普段自分は子ども向けのイベントを主催しているとします。それをキャッチコピーに書いて、相手が興味を持ってくれれば、自分の得意な領域で話ができるはずです。そこから、相手との共通点を見つけていくのです。つまり、相手から「具体的にはどういうことをやっているんですか?」という質問が得られれば、キャッチコピーとしての役割は十分なのです。

過去のワークショップでは、魚好きだから「水族館を作ります」というキャッチコピーを考えた人がいました。言い切ると相手に伝わりやすいですね。

また、最初からいい面ばかりをキャッチコピーにせず、真面目な要素と遊び心のある要素を混ぜて、緩急を付ける方法もあります。例えば「全く泳げない経営コンサルタント」と書くと、「泳げないんですか?」という会話のフックにつながりますから、名刺としての役割を十分満たしてくれるはずです。

<アクティビティ>

キャッチコピーが出来たら、他の人と名刺交換をするグループワークを行いましょう。

今回の講義では、「品川区の商店街について一番詳しい人になりたい」というキャッチコピーを考えた方がいました。趣味の項目には「休日は自転車で商店街を巡る」と書いていて一貫性も感じられます。「これは筋金入りだ」と相手に伝わりますし、印象に残るでしょう。相手との会話にもつなげていきやすいです。

名刺は人とつながる第一歩

2021年のフリーランスの人口は約1600万人。そのうち、約半数が複業(副業)系だと言われています。フリーランスとして1つの事業だけを続けるのはリスクが高いため、創業者にとって、いくつかの仕事をこなしながら収入を確保するのは一般的な話なのです。

働き方の多様化が進む中で、自分の可能性を一つにとどめず、いろんな人と出会いましょう。そうすると、おのずと新しいアイデアが創造されていきます。この楽しさを、これから起業する人たちにはぜひ知ってほしいと思います。

その第一歩として、今日のワークショップで得た知識を使った、自身の強みが伝わる名刺でファーストインプレッションにぜひつなげていってください。