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「初めてのHP制作でベストを目指さない」 低コストでホームページを作って、起業に弾みをつけるワークショップ

起業イベントレポート

 品川区立西大井創業支援センター(PORT2401)は4月24日、起業を目指す人を対象に「低コストでホームページを作って、起業に弾みをつけるワークショップ」を開催しました。講師は中小企業診断士の仲田俊一さん。仲田さんは「会社の業態によって、ホームページよりもGoogle MapやSNSをうまく活用したほうが有効なケースもあります。まずはホームページ制作の目的をしっかりと持ってほしい」と呼びかけました。当日のセミナーの内容をまとめてお届けします。

〈登壇者プロフィール〉

仲田俊一氏 / 中小企業診断士、元地方公務員
1978年生まれ。茨城県出身。
12年間勤務した広告会社での経験を生かし、年間50社を超える中小企業の営業やマーケティングのアドバイスを行う。
インスタグラム:https://www.instagram.com/shindanshi.1day1neta/
HP:https://www.snakata.jp/
【過去の受賞】 ・2021年度シティプロモーションアワード金賞 ・2020年度地域情報コンテンツ大賞 読者投票部門大賞

HP制作で陥りやすい5つの罠

 ホームページ(以下、HP)制作でまず大切なのは、「そもそも自社にHPは必要か」「何のために使うHPなのか」を自分に問いかけることです。これがわかっていないと目標が定まらず、HP制作が滞ってしまいます。
 ここで、HP制作時に陥りやすい5つのパターンを紹介します。

ベストを求めると完成未定の罠

 HPを作るなら、最初からベストなものを目指したい。そう思う方は多いのではないでしょうか。しかし、HPは運用し始めた時に初めて「この機能が必要だ」とわかることがたくさんあります。ですから、最初からベストを求めることはとても難しいんです。

 それに、最初から最高なHPを作ろうとするとコストがかかります。ここでいうコストとは、HPを発注するためにかかる費用だけではなく、発注者側にかかるコストも指します。例えばHPの中身を作るのは発注者側の作業。「あれもこれもコンテンツを盛り込みたい」と考えた場合、それを整理するための時間が必要となるのです。

 HPのトレンドは数年で変わってしまうもの。最初からベストなHPを目指そうとせず、数年後のリニューアルを前提にまずは運用してみることが、コスト的なメリットは大きいです。

必要・不必要の罠

 そもそも、あなたのビジネスにHPは必要ですか?

 こう言うと驚かれるのですが、現在は昔ほどHPの影響力はありません。業種によっては本当にHPが必要ないケースもあるくらいです。

 例えばBtoCの業種で店舗型の場合、ユーザーはGoogle MapやInstagramを活用して来店するケースが増えてきました。HPを作るよりも、SNSなどに力を入れたほうが集客につながるのです。飲食店ならグルメサイト、エステなどの美容系なら美容系サイトに登録するのも良いでしょう。

 以前、ストレッチジムの創業者がお客さんにGoogle Mapの口コミを書いてもらうよう働きかけたところ、来客が増えたというケースがありました。それくらい、現在はGoogle Mapを利用して店を決めるユーザーが多いのです。自分のビジネスを利用するユーザーが何のツールを使っているのか、HPを作る前に想像してみるといいでしょう。

 一方、HPが必要な業種はBtoBの企業です。例えば、私はBtoBの仕事をしていますから、HPは必須です。セミナーの主催者が口コミなどで私の存在を知り、HPで経歴や実績を調べ、問い合わせフォームから連絡を取るのです。

 自分のビジネスにHPは必要か。まずはそこから考えてみるのが良いでしょう。

プロに頼んだらOKの罠

 制作をWebデザイナーに頼めば素晴らしいHPができると考えている方は多いですが、プロに頼んで失敗した例もあります。

 WebデザイナーはHPのコンテンツをきれいに見せることが得意です。しかし、顧客の事業を一つ一つ深く理解することはなかなか難しい。もちろん両方できるWebデザイナーもいますが、HP制作を丸投げするとほとんどが失敗してしまうでしょう。 まず依頼する発注者側が、自分の事業やHPの目的、ターゲット層を深く理解する必要があります。その上で、どんなHPを作りたいかをWebデザイナーとすり合わせていくようにしましょう。

せっかくだからの罠

 「HPを作るなら、あの機能を入れたい、このコンテンツも入れたい」と詰め込んでしまうことがあります。気持ちはわかります。HPを作る時って前向きな気持ちになるので、メリットばかりに目が行くんです。でもデメリットもあるんですよ。

 例えば、コンテンツを豊富にすると、制作時間が長くなります。加えて、維持管理にコストがかかるため、過去の情報が放置されたままだったり、最終更新日が古く、信頼が下がったりするケースもあります。

 コンテンツが豊富だと「情報をきちんと伝えられる」「SEO対策になる」といったメリットがありますが、ユーザーに事業を理解してもらえるかは別問題。それに、SEO対策といっても、競合他社が別にあれば後発になってしまいます。どこまで検索上位に食い込めるかはわかりません。

 私のHPはシンプルな作りをしています。コンテンツは、プロフィールと実績と問い合わせフォームだけ。なるべく更新しなくてもいい作りにしているので、1年に1度の見直しで管理しています。更新作業もコストの一つですから、作業工数を考えてHPを制作しましょう。

 HPにニュースやブログ欄を設けたい方は、最低でも1カ月に1度の更新を目指すこと。それができないようであれば、最初からニュースやブログ欄を作らない方がいいとアドバイスしています。

仕事に繋がらない罠

 「HPを作ったけど、顧客が増えなかった」という相談もあります。

 消費者の購買行動プロセスを示すマーケティング用語「AIDMA」をもとに考えていきましょう。

 人は商品を認知して好きか嫌いか関心を寄せ、商品が欲しいか判断し、必要だと判断した場合は記憶して購買します。

 インターネット上で購買する場合は「AISAS」があります。商品を認知して、好きか嫌いか関心を持ってもらうまでは「AIDMA」と同じで、次はインターネットで検索する「Search」、購入する「Action」、最後は「Shere」で他の人と商品の情報を共有するんです。

 HP作成では、AISASのSである「Search」と「Shere」の役割が大切。例えば先ほどのストレッチジムの例で言えば、認知、関心、検索の部分はGoogle Mapが担います。ですから必要なのはSEO対策ではなく、Google Map対策。ここで検索が上がるように、「ストレッチジムが良い」と感じたお客さんに口コミを書いてもらうんです。そして、Google Mapに店のLINE IDを載せ、興味を持ったお客さんがジムへ連絡できるように流れを作るんです。

 一方、私の場合はHPでそれを完結させています。DMや口コミを通して私を知ったセミナーの主催者は、私のHPで「Search」して実績などを調べるでしょう。「良い」と思ったら問い合わせフォームから連絡して「Action」を起こし、終了後の評価を口コミなどで「Shere」するんです。

 自分のビジネスでHPがどういう役割を持つか。認識をはっきりさせることで、仕事に繋がるHPを作ることができるでしょう。

HP制作で、何から着手すべきか

では、いざHP制作を進める場合は何から始めればいいのでしょうか。HPを作る際は次のような選択肢があります。

・自分で作るか、外注するか
・自分で作る場合は何で作るか
・HPを作らない場合はどんな選択肢があるか

自分で作るか、外注するか

 自分でHPを作ると費用はそこまでかかりませんが、時間はかかります。けれどHP制作のノウハウが溜まり、気になったところは自分で修正できるようになるので、HPを管理するストレスはなくなるでしょう。

 一方、外注すると費用がかかる上、時間もそこそこかかります。メリットは、今後サポートしてもらえる相手と出会える可能性が出てくること。実は、起業する人の中にはIT分野が苦手な人も少なくないんですよね。その分野をサポートしてくれるかもしれない相手と出会えるかもしれないなら、外注も強みになるでしょう。

 もし外注する場合は、CrowdWorksやココナラといったマッチングプラットフォームの利用をおすすめしています。その際は「価格」「自分の感性との一致」「口コミ」をチェックすること。過去のデザインから自分の好みにあったものを選ぶようにしましょう。

 知り合いのWebデザイナーに頼むよりビジネスライクにお願いできるので、スムーズに進行できる可能性が高いです。

自分で作る場合は何で作るか

 自分でHPを作る場合は、WordPress、Wix、Jimdoo、ペライチから選ぶのがおすすめです。

 WordPressは日本で最も使われていて、HP制作の自由度が高い分、扱うのが難しいソフトです。けれど、過去に一から勉強して自分でHPを作った方もいましたから、挑戦する意義はあると思います。

 ペライチはフォーマットがある程度決まっていて自由度が低いけれど、安く使えるし何より簡単です。

HPを作らない選択をした場合

 HPを作らないという選択もあります。その場合はどういう対策を講じるべきか。重ねてお伝えしますが、BtoCの企業の場合はGoogle Mapが重要です。Google Mapに情報がなかったら、お店が存在しないのと同じだとさえ言えるでしょう。必ず店の情報を加えてください。

 SNSではInstagramが大切ですね。プロフィール画面に住所や営業時間などを記載し、ストーリーを利用してコンテンツを充実させましょう。業態に合わせて、グルメサイトや美容系サイトの活用も検討するといいですね。

 最後に、複数のSNSを運用する場合は、linktree(リンクツリー)というサービスもおすすめです。店のSNSを1つの画面で表示できるので、QRコードでlinktreeの画面に誘導し、ユーザーの利用しやすいSNSで情報を確認してもらうことができます。

自分のビジネスにHPが本当に必要か

 会場では講座の後、自分のHPを作る際に必要なフレームワークを整理する時間が設けられました。

 「起業するんだから、絶対にHPを作るぞ」と意気込みすぎず、まずはHPの必要性を判断し、「どんな集客をするか」を考え、低コストで運用し始めてみることが、活用できるHP制作では大切なのかもしれません。