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創業前後の起業家向け「令和4年度 品川区助成金・融資あっ旋制度」を徹底解説!

起業tips

創業前後、ビジネスを実現・継続するために検討する方も多い資金調達。
資金調達の方法には銀行からの融資、投資家からの出資、クラウドファンディングなど様々な方法がありますが、行政の助成金や融資制度の活用も挙げられます。
行政の助成金・融資制度の内容は年度ごとにアップデートされ、創業フェーズによって活用できるものが異なります。

今回は、創業前〜創業間もない方が活用できる「令和4年度 品川区助成金・融資あっ旋制度」(一部東京都も含む)を解説します。

はじめに。助成金と融資の違い

はじめに、助成金と融資の違いを確認しておきましょう。

助成金とは、事業を実現するために助けてくれるお金のこと。原則返済義務はありませんが、先に自己資金で支払った後に支給されるため、一時的に支払いが発生します。
また、申請するための要件・条件が定められており、「それらを手順通り達成すること」「対象経費をしっかりと把握しておくこと」が必要です。

●一時的に自己資金で支払いを行う
●支払った経費が対象経費外だった、または手順通りに要件を達成できなかった場合、後に支給されない可能性がある

上記のようなことから、ある程度の資金力がある状態で活用することが望ましいといえます。

一方、融資とは「お金を貸す」という意味です。つまり、「融資を受ける」=「お金を借りる」ことですので、返済義務が発生します。

品川区では、事業主が必要な事業資金を低金利で借り受けられるよう、紹介状などを用いて取扱金融機関を斡旋する「融資あっ旋制度」を導入しています。

ただし、区から紹介状が交付された後、最終的に融資の可否を判断するのは金融機関および東京信用保証協会ですので、紹介状発行後必ずしも融資を受けられるとは限りません。
融資申請の際は「返済能力があると信用してもらえるかどうか(きちんと利益が出るかどうか)」が大きなポイントとなります。

将来的にお金が入る見込みがあり、そのために一時的に資金が必要な場合に活用すると良いでしょう。

助成金:創業前〜創業後5年未満の方向け

創業前から活用できる助成金として知っておきたいのが、東京都の創業助成事業です。
都内開業率の向上のため、創業のモデルケースになり得る創業予定の個人または創業間もない事業主に対し、創業初期に必要な経費の一部を助成します。

東京都の創業助成事業
対象都内で創業を予定されている方または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件(※)を満たす方
助成額上限300万円/下限100万円(対象経費の3分の2以内)
対象事業賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費
募集期間第1回:令和4年4月11日(月)〜令和4年4月20日(水)
(例年、秋頃に第2回目の募集があります)

※一定の要件とは、「TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者」「東京都制度融資(創業)利用者」「都内の公的創業支援施設入居者」など、定められた19の要件のうちいずれかひとつを満たす必要があります。要件詳細はこちら(※外部サイトへ飛びます)をご覧ください。

要件を満たすためには時間がかかるため、早めに要項を把握し、次回募集開始までにしっかりと準備を進めておきましょう。

助成金:創業後の方向け

続いて、創業後であれば事業歴に関係なく活用できる品川区の助成金を紹介します。

新製品・新技術開発促進助成(製造業のみ)
対象区内で1年以上継続して事業を営む計画のある中小製造業者
(区内での事業歴が1年未満でも申請可能)
助成額最大250万円(対象経費の3分の2)
※申請件数・開発経費等を考慮し、審査の上、限度額の範囲内で金額を決定します。
対象事業新製品・新技術開発で、令和4年4月〜令和5年3月に開発が完了する事業
①製品の開発 ②機械器具または装置の高性能化・自動化技術の開発
③生産・加工・処理のための新技術の開発
募集期間令和4年4月18日〜令和4年6月17日

新製品・新技術開発促進助成は、審査員の前でプレゼンテーションを行った上で、助成金の交付が決定します。

また、令和4年度品川区ソフトウェア開発助成の助成対象となっている場合は、助成対象外となるのでご注意ください。

ソフトウェア開発促進助成(製造業・情報通信業)
対象区内で1年以上継続して事業を営む計画のある中小製造業者・中小情報通信業者
(区内での事業歴が1年未満でも申請可能)
助成額最大100万円(対象経費の3分の2
対象事業以下のようなソフトウェア開発で、令和4年4月〜令和5年3月に開発が完了する事業
①新たなビジネスモデルの構築や技術的課題の解決等により、開発後の需要が見込まれるソフトウェア開発
②これまで情報化の対象として取り上げられていない分野に対して、新たな情報化の進展が見込まれるソフトウェア開発
募集期間令和4年5月16日~令和4年7月15日

令和4年度品川区新製品・新技術開発促進助成の助成対象となっている場合は、助成対象外となりますのでご注意ください。

また、上記2つの助成金はいずれもオンライン申請に対応しています。申請の際は、ご都合の良い方法をお選びください。

助成金:区内で1年以上事業を継続している方向け
令和4年度 品川区助成金の傾向

国内で新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい始めて約2年。ワクチンの普及率の高まり、まん延防止等重点措置の解除など好転の兆しは見え始めていますが、まだまだ経済に大きな影響を与えています。

そこで品川区は、令和4年度も新型コロナウイルス感染症に対応した助成金を重点施策として策定しています。

合わせて、今年度とくに力を入れているのが『DX・デジタル技術活用推進事業』です。
区内中小企業のDX化・デジタル技術活用を支援し、「生産性向上および新事業創出・新技術開発等による競争力の強化」を目的としています。

DX・デジタル技術活用推進事業

『DX・デジタル技術活用推進事業』には、DX推進助成デジタル技術活用推進助成の2つの助成金が設けられています。

DX推進助成

DX推進助成は、生産性向上を目的とした製造現場のDX化にかかる設備導入経費の一部の助成をします。

DX推進助成 
対象区内に1年以上主な事業所を置く中小製造業・中小情報通信業者
助成額最大300万円(対象経費の3分の2
募集開始令和4年5月〜

デジタル技術活用推進助成

デジタル技術活用推進助成は、生産性向上を目的とした事務作業などのデジタル化にかかる設備導入経費の一部を助成します。

デジタル技術活用推進助成 
対象区内に1年以上主な事業所を置く中小製造業・中小情報通信業者
助成額最大80万円(対象経費の3分の2
募集期間令和4年5月9日〜令和5年2月28日(先着順)

上記の助成金にはその他各種要件がありますので、詳しくは『DX・デジタル技術活用推進事業』のHPをご参照ください。

※『DX・デジタル技術活用推進事業』につきましては、令和4年5月11日、説明会の開催が予定されています。

新型コロナウイルス感染症関連の助成金

新型コロナウイルス感染症関連の助成金は、2つあります。

新規市場展開・業態転換支援助成

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている区内中小事業者が、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の変革に対応し、新たな市場に進出等をするために行う前向きな設備投資費用の一部を助成します。

新規市場展開・業態転換支援助成 
対象区内に1年以上主な事業所を置く中小事業者
助成額製造業:最大100万円(対象経費の3分の2
その他の業種:最大50万円(対象経費の3分の2
対象経費事業転換等に必要な機械装置およびソフトウェアの購入費および設置費等のうち、令和5年2月28日までに納入・設置・支払が完了する事業(単純な業務改善は対象外です)
募集期間令和4年5月9日~令和4年8月31日(先着順)

なお、新規市場展開・業態転換支援助成には書類審査、実地審査があります。

新型コロナウイルス感染症対応特別助成

新型コロナウイルス感染症により影響を受けた区内中小企業が、その対策を図るためもしくは危機を乗り越えるために前向きな投資を行いながら販路拡大に取り組む経費の一部を助成します。

新型コロナウイルス感染症対応特別助成
対象区内に1年以上、主な事業所を置く中小事業者
助成額最大20万円(対象経費の3分の2
対象経費令和4年4月1日〜令和5年2月28日に導入が完了し、同期間にお支払いが完了するもので、下記に該当する経費
①飛沫対策費 ②換気費 ③衛生管理費 ④広告費
※マスク、消毒液など消耗品は対象外です
募集期間令和4年5月9日~令和5年1月31日(先着順)

なお、新型コロナウイルス感染症対応特別助成はオンライン申請も可能となっています。

融資あっ旋制度:創業前〜創業後5年以内の方

品川区では複数の融資あっ旋制度を導入していますが、今回は創業前から活用できる創業支援資金についてご紹介します。

創業支援資金を活用した場合の金利は上記の通り。自身で直接金融機関で借り受けるよりも低金利であり、さらに信用保証料の補助などのメリットがあります。

※個人事業主として創業予定の方は、創業に必要な資金総額の3分の1以上の自己資金が必要になります。
(例:創業資金として300万円必要な場合は、100万円以上の自己資金が必要になります)

(注1)企業の代表者でない者、個人事業主でない者が品川区内に創業する場合、または企業の代表者でない者、個人事業主でない者が品川区内に創業し、事業を継続して5年以内の場合
(注2)すでに企業の代表者または個人事業主で、品川区内で新たに創業する場合、すにで企業の代表者または個人事業主で品川区内で新たに創業し、事業を継続して5年以内の場合
(注3)(注1)に該当し、後述する特定創業支援事業を受講し、その認定を受けた者
(注4)(注1)に該当し、創業計画書(区指定様式)にて情報通信事業分野(日本標準産業分類における中分類39情報サービス業)で創業する具体的な計画を有している様、または情報通信技術を活用し創業する具体的な計画を有している者

特定創業支援事業とは、「産業競争力強化法」に基づき、区内の創業者を支援する事業です。
特定創業支援の認定書を発行してもらうためには、商工相談員へ継続的な相談(1ヶ月以上4回以上)を行い、経営・財務・人材育成・販路開拓に関する知識を習得しながら、レポートシートを作成する必要があります。

この認定書を取得すると、品川区融資あっ旋「創業支援資金」の利率の優遇、法人設立の際の登録免許税の減免、国の補助金の優遇措置などのメリットがあります。ぜひご検討ください。

『創業支援資金』の利用方法

1.金融機関に相談
2.品川区商業・ものづくり課に面談予約
3.商工相談員と面談し、創業計画書を作成
4.創業計画書・その他必要書類が揃ったら、紹介状交付
5.交付された紹介状を金融機関に持参(その後、金融機関の審査)

詳しい申込方法や要件については、品川区の該当ページをご確認ください。

活用できる助成金・融資あっ旋制度を見落とさないようにしよう

東京都、そして品川区では令和4年度も創業予定者、そして中小企業を支援するため多数の助成金・融資制度を設けています。創業フェーズによって活用できる種類が異なるため、「自身のフェーズではどれが当てはまるのか?」しっかりと把握し、活用できる制度を見落とさないようにしましょう。

また、品川区が策定している助成金・融資あっ旋制度は、「区内に1年以上主な事業所を置く事業者」を対象としているものが多いです。

これから創業される方は、ぜひ品川区で創業し、次年度以降も助成金・融資あっ旋制度を活用することを視野に入れてみてはいかがでしょうか。